green乗車ガイド Page 4/4

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1.バスに乗る前に…
 台湾の中で最も難易度の高い乗り物、それが路線バス(公車)です。もともとシステムが複雑である上に、旅客向けの案内やサービスなど、初めての利用者にはやや不親切なところがあって、当の台湾人でさえもこれを使いこなすのは至難の業と言われています。逆に路線バスを攻略できれば、台湾の陸上交通はほぼ制したも同然なんですけどね。(^_^:)
 では、最初に路線バスに乗車する前の心構え(?)から。
 まず、台湾のバスの停留所ですが、見かけは日本のものとほとんど変わりません。同じ道路に複数の系統のバスが混在している場合は、写真のような特大のバス停が使われることもありますが、大半はポールの先に円形また四角形の板が付いたタイプです。
 日本のバスの停留所と少々事情が異なるのは、路線別に停車する全バス停の名称が書いてあること。一見、先進的なサービスのように思えますが、実はこれが大きな落とし穴…というのも、台湾の路線バスでは、台北市等の一部事例を除き、基本的に車内アナウンスの類が一切ないため、これがバス停の名前を知る唯一の機会なのです。ですから、自分が降りる予定の停留所はもちろん、その前後にあるバス停の名前と位置関係もぜひチェックしておきましょう。
 もう一つ、台湾の路線バスで厄介な点は、停留所にバスの運転時刻が明示されていないことです。バスが頻繁に走っているのであれば、別に細かい時間が分からなくてもさほど困りませんが、1日に数本しかバスが来ない路線でも、時刻表の掲示がないケースがしばしば見受けられます。もちろん、運行ダイヤが存在しないわけではないので、バスの営業所に電話等で問い合わせれば教えてくれるのですが、旅行先でいちいちそんな面倒なことはやってられないし、第一、電話では現地の言葉を自由に操る能力がなければ、その時点で即アウト…で、結果的にいつ来るか分からないバスを停留所で辛抱強く待つことになっちゃうんですよね(^^;。ただ、最近はホームページで時刻表を公開しているバス会社が増えてきたので、これを活用しない手はありません。事前にスケジュールが決まっているのであれば、日本にいる間にインターネット上で運転時刻に関する情報を収集しておくことをお薦めします。
 
photo01
 台湾のバスの停留所。停車するバス停の名前が路線別に掲示されています。そのため、同じ道路に複数のバス路線がある場合にはこのような大きな板が使われる場合も。
photo02
 高雄駅前にあるバス乗り場。停留所がこういうターミナル形式で一つに集約されていると嬉しいですね。ちなみに、台北車站の場合は…路線によって乗り場はバラバラです(^^;。
photo03
 朝夕のラッシュ時になると、停留所の周りをバスが二重、三重に取り囲むなんてこともしばしば。バスを「捕まえる」という感覚がこれでご理解いただけると思います。
 
2.いざ乗車!
 停留所で自分が乗るバスの系統番号と行き先を確認したら、いよいよ目的のバスを捕まえます。「捕まえる」と書いたのは、大都市で複数の路線が入り乱れているような場所だと、停留所の前でただぼ〜っと立っているだけでは、バスが止まってくれない場合が往々にしてあるからです。お目当てのバスが停留所に近づいてきたら、適当なタイミングを見計らって、自分がそのバスに乗る意思があることを運転手さんにアピールしましょう。ちょうどタクシーを拾うときの要領と同じです。もっとも、捕まえるタイミングを誤ると、バスの代わりにタクシーが滑り込んできて、バツの悪い思いをすることもありますけどね(^^;。
 バスが停車したら開いたドアから乗車するわけですが、その前にバスの行き先をもう一度確認しておきましょう。というのも、最近でこそ発光ダイオードや液晶による案内装置を備えた車両が増えてきましたが、地方へ行くとまだまだ固定式の方向幕が主流のケースが多く、表示されている内容が必ずしもそのバスの"本当の"終点であるとは限らないからです。例えば、写真の基隆客運のバスの場合、窓ガラスの上に「基隆−九[イ分]/金瓜石」という文字が見えますが、中には途中の瑞芳までしか行かないバスもあり、実際の行き先は運転台の横に置かれた黄色いプレートのほうに書いてあります。また、同じ系統番号の路線でも、数字の色や「右」「左」の別によって経由地が異なっていたり、ひどいときにはバスの転属等により、看板は昔の路線ままだが、番号の部分のみ紙を貼って訂正してあった…なんて話も聞くので、油断は禁物です。いずれにせよ、重要な情報が方向幕とは別の場所にさりげなく掲示されていることが多いのが台湾の路線バス、これを見落とさないようにするのが公車攻略のためのコツと言えます。
 
photo04
 基隆客運の路線バス。窓ガラスの上に掲げられた方向幕は固定式、本当の行き先は運転台横の黄色のプレートのほうに表示されています。
photo05
 写真が小さくて申し訳ないんですが、系統番号「644」の下に経由地を書いた札が掲げられています。こうしたさりげない表示にも要注意ですね。
photo06
 こちらは方向幕のあるべき場所に会社名だけが表示されていて、行き先が全く分かりません。地方へ行くと多いんですよね、このパターン(^^;。
 
3.上車収票と下車収票
 日本の路線バスで運賃の収受方法といえば、大抵は特定区間内均一運賃か、もしくは予め整理券を取ってから乗車し、降りる際に運賃表示器の金額と番号を参照して支払う方式が一般的ですよね。また「前払い」か「後払い」か、あるいは「前乗り」か「後乗り」かといったことも、会社や路線によってきっちりと決まっています。しかし、台湾の路線バスの場合、そのへんは非常に柔軟というかバラバラ(^^;。同じバス会社でも路線によって取扱いが異なるのはもちろん、極端な話、運転手さんのその日の気分によって変わる…なんてこともあるようです。
 そんなときに頼りになるのが、運転席の上や前扉の横にある「上車収票」「下車収票」の表示です。上車収票は乗車時に運賃を徴収すること、反対に下車収票はバスを降りるときに運賃を集めることを意味します。なお、乗るときは上車収票だったのに、いざバスを降りようとすると下車収票になっていたというケースがたまにありますが、これは途中で「分段點」を越えたことによるもので、その場合には降車時にもう1回、初乗り運賃(台北市は15元、高雄市なら12元)を払って下さい。詳しくは次の項で解説します。
 また、乗降口については、一応「前乗り」「前降り」のパターンが基本のようですね(台湾の路線バスの場合、そもそも前扉しかなかったり、後扉があっても実際には閉め切りになっていることも多い)。ただし、上車収票の場合に前扉から乗って後扉から降りるケースや、反対に下車収票で後扉から乗って前扉から降りる例もあります。ここらへんは周囲の交通状況などによるところも大きいので、他の乗客の動きを見ながら、臨機応変に対応しましょう。仮に間違ったドアから乗降しても、日本のように運転手さんにやかましく言われることはほとんどありません。
 なお、台湾の路線バスの料金箱は文字通り単なる「箱」で、両替機能は付いていないのが普通です。当然、お釣りも出ないので、予め小銭を多めに持って乗車するようにしましょう。台湾では路線バスに限らず、紙幣が使えないケースが多々あるので、財布は硬貨で少し膨らんでいるくらいが気分的に安心です。
 
4.分段點と緩衝區
 台北市や高雄市の公車は全線均一料金である場合が多いのですが、比較的長い距離を走る路線になると、それでは出血大サービスになってしまうので(^^;、途中に運賃が上がる地点が設けられていることがあります。この料金の境目に当たる箇所を「分段點」といい、これを越えて乗車すると初乗り分の運賃が加算される仕組みになっています。分段點の場所はバスによって異なり、通常は車内の路線図や停留所、市販のガイドブックなどに表示されているので、詳しくはそちらを参照して下さい。なお、分段點はそんなにたくさんあるわけではなく、1つの路線にせいぜい1箇所、多くても2箇所程度です。
 上で分段點を通過すると運賃が上がると書きましたが、この方式だと分段點の1つ手前のバス停から乗って、分段點の1つ先の停留所で降りた場合、大して距離を利用していない割に高い運賃を取られることになっちゃいますよね。そうした不公平感を避けるため、路線内に「緩衝區」または「分段緩衝區」と呼ばれる特定料金区間が設定されていることがあります。この緩衝區の中で乗り降りする場合は、途中で分段點を越えたとしても運賃は変わりません。台北市内でバスを利用すると、大抵は初乗りの15元で済んでしまいますが、実は緩衝區制度による恩恵だった…なんて事例が少なくないようですね。
 
photo07
 「上車収票」か「下車収票」かを知らせる表示器。大抵は運転席の上か前扉の横など、目立つ場所に設置されています。
photo08
 地方のバス路線の多くは「前乗り」「前降り」。写真のような観光バスタイプの車両が使われることもあります。
photo09
 運賃と引き替えに渡される短冊。支払った料金に対応するバス停名が書いてあり、下車する際に回収する仕組みです。
 
5.多段区間を走るバス
 台湾の路線バスの中で最も難易度が高いのが、2段や3段といった多段区間を走るバスです。というのも、前の章でも少し触れたようにバス会社や路線、運転手さんによって運賃の収受方法や乗降口が異なるからです。しかも、乗車する区間によって払うべき金額が違ってくるわけですから、事態はもっと複雑になります。
 私の少ない経験の中では、多段区間のバスは自己申告による前払い式。つまり、乗車するときに自分が降りる予定のバス停までの運賃を払い、下車時はフリーというケースが多いような気がします。まぁ、一種の性善説に基づく方法ですね。この場合、運賃を料金箱に入れる際に、硬貨を運転手さんに見せながら降車するバス停の名前を告げる(あるいは、メモ用紙に書いて提示する)と、後で金銭面でのトラブルを防ぐことができるのでお薦めです。
 なお、多段区間を走るバスで、運賃と引き替えに行き先の書かれた紙製の短冊、または無地のプラスチック片を運転手さんから渡される場合があります。これは乗客の払った金額が正しいかどうかをチェックしたり、緩衝區から乗った客かそうでないかを区別するためのもので、バスを降りるときに回収する仕組みになっています。有名なところでは、台北市の欣欣客運や桃園客運がこの方式ですね。言葉に自信がない方は、予め行き先をメモ用紙に書いておいて、運転手さんに見せるようにしましょう。
 
6.バスの降り方
 最初の章でも少し述べましたが、台湾の路線バスの場合、「次は○○です」といったテープ放送の類は、台北市などの大都市以外は"ない"と思っておいたほうが無難です(当然、運転手さんの肉声による案内もありません)。そのため、目的の停留所がどこにあるかは自分で探して自分で判断することになります。もちろん、運転手さんや周りの乗客に聞くという手もあるのですが、北京語や台湾語ができなかったらお手上げだし、乗客も自分が降りるバス停以外のことはあまり知らなかったりする場合が多いんですよね(^^;。
 お目当てのバス停探しは、周囲の景色と雰囲気を見て判断する、途中の停留所の数を勘定するといった方法が考えられますが、お薦めは大きな通りや交差点、河川、トンネル、鉄道の踏切などを目印にして現在地を類推するやり方です。特に初めて乗る路線の場合は、事前に地図で手がかりになりそうなポイントを確認しておくと便利だと思います。
 自分が下車する予定の停留所の近くまで来たら、車内に設置してある降車ボタンを押せば、バスは停まってくれます。ここらへんは日本のバスと同じですね。ただし、古いバスの中には、降車ボタンの代わりに窓枠の上にのびる黒いベルトの部分を押したり、あるいは天井に張られたひもを引くことで、降車の意思を運転手さんに知らせる方式の車両があるので要注意。私事で恐縮ですが、高雄市で初めて公車に乗ったときにベルト式のバスが来て、車内のどこにも降車ボタンが見当たらず、非常に焦った経験があります(ベルトが窓枠や化粧板の継ぎ目と一体化していて、見た感じ分かりづらいんですよね。(^^;)。また、ひもベル式のバスもとっくの昔に絶滅したと思っていたら、つい最近になって台中市で遭遇しました。どうも高速バスを格下げする際に、最もお手軽な路線車への改造方法として、今でもひもベルが採用される事例がなくはないようですね。実際に当たるケースはごくごく稀だと思いますが、このあたりも事情を知らないと、"ひも"が単なる車内アクセサリーの一部にしか見えないので、知識として頭の片隅に入れておきましょう。
 
photo10
 台北市内を走るバスの運転台周りの様子。右上に見える白い機械が悠遊[上/下]専用のタッチセンサー(驗票機)。左下の半透明のケースが料金箱です。
photo11
 中崙〜金瓜石間を結ぶ大有巴士の路線で使われていたボンネットバス。トラックの荷台の上に客室を乗っけました…みたいな外観がユニークですね。
photo12
 かつて瑞芳〜侯[石同]間を走っていたキャブオーバー型のミニバス。今は何の変哲もないただの大型バスに置き換わってしまったのが少々残念です。
 
7.公車ガイドと悠遊[上/下]
 台北市内を走る路線バスの場合、主要ターミナルや路線図、分段點などの情報をまとめたガイドブックが売られているので、頻繁にバスを利用する機会のある人は購入しておくと便利です。ガイドブックは複数の会社から出版されており、1冊100元〜200元程度。大抵は「大台北縣市公車手冊」とか「大台北公車捷運指南」といった書名で、市内の本屋やコンビニエンスストア、駅の売店などに置いてあります。なるべく地図が見やすくて、最新の情報が掲載されているものを選ぶようにしましょう。
 もう一つ、台北市をバスで移動する際に重宝するアイテムは、従来の公車[上/下]が発展統合する形で登場した悠遊[上/下](EASYCARD)です。システムはJR東日本のストアードフェアカード「Suica(スイカ)」とほぼ同じで、予め一定の金額を悠遊[上/下]にチャージしておくことにより、台北捷運(MRT)や路線バス(台北市縣聯營公車)、公営駐車場等をキャッシュレスで利用できる仕組みになっています。路線バスの場合、運転席横の料金箱の近くに専用の読み取り機(驗票機)が設置してあるので、センサー部分に悠遊[上/下]をタッチ1秒、即決済完了です(ピッという音と共に驗票機の緑色のランプが点灯し、1段票分の運賃が自動的にカードから引き落とされます)。なお、多段区間を走るバスで悠遊[上/下]を使うことも可能で、その場合はカードを分段點の数だけ驗票機に通して下さい(例えば、3段分乗車したときはカードを3回接触させればOK。端数や不足分は別途現金で精算します)。同じように複数人の運賃を1枚の悠遊[上/下]で支払うこともできそうですが、悠遊[上/下]は各人につき1枚(共用禁止)が原則となっているので、建前上は駄目との由。もっとも、公車[上/下]時代からの慣習で、現場ベースでは割と融通を利かしてくれるケースが多いようです。
 悠遊[上/下]は、台北捷運の窓口や専用の自動発行機、悠遊[上/下]のマークの付いたコンビニエンスストアなどで売られており、普通[上/下](大人用)のカードは500元から(うち100元はデポジット)。もちろん、これを路線バスだけでペイさせようとすると大変ですが、地下鉄や新交通システムとの併用も可能だし、最悪、帰国時までに額面額を使い切れなかった場合は、窓口で退会する旨を申請すれば、デポジットと共にカード残額を払い戻してくれます。また、チャージした金額の有効期限は2年間なので、それまでに台湾リピーターとなって、再び台北に舞い戻って来るという選択肢もありますね:-P。
 
8.まとめ
 本文が少し長くなってしまいましたが、最後に今までに述べた重要ポイントを軽くおさらいしておきたいと思います。
 
(1) 乗り場に着いたら自分の降りる予定のバス停の位置関係をチェック。事前に運行ダイヤなどを下調べをしておくと吉。
(2) 同じ道路に複数の系統のバスが走っているところでは、なるべく大きな路線番号のバスは避ける…台北市の場合、系統番号が2、3で始まる3桁の路線バスは多段区間を走ることが多く、運賃収受の"儀式"が複雑になるため。
(3) 目的のバスが来たら、手を挙げて自分の存在を運転手さんにアピール。
(4) 経由地や区間運転の有無など、方向幕以外の場所に表示された重要な情報を見落とさない。
(5) バスに乗ったら上車収票か下車収票かをまず確認。
(6) 大半の路線バスはお釣りが出ないので、前もって小銭は多めに準備する。
(7) 多段区間を走るバスの多くは自己申告式。運転手さんから行き先の書かれた短冊をもらうのを忘れないように。
(8) 車内アナウンスの類はないので、自分の降りるバス停は自分で探す。車窓には常に気を配っておくこと。
(9) 何か分からないことがあったら他の乗客の行動を観察してそれに合わせる。
 
 では、皆さんのご健闘をお祈りします。(^^)v
 
関連サイト
台湾の高速バス事業者リンク集
台北智慧[上/下]票證公司 【Big5】
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