green乗車ガイド Page 1/4

首頁  戻る  次頁

 

1.路線
 台湾鐵路局(TRA)の路線は、大きく「西部幹線」「東部幹線」「支線」の3つに分類することができます。このうち優等列車が走っているのは西部幹線と東部幹線で、支線は普通列車のみの運転です。
 西部幹線(縦貫線)は、北部の港町である基隆から首都のある台北、桃園、新竹、彰化、嘉義、台南を経て台湾第2の都市、高雄へ至る406.1km(海線経由)の路線で、さらに台中を通るかどうかによって海線と山線(台中線)の2つに分かれます。列車の運転本数も多く、文字通り台湾島を南北に貫く台湾鐵路局の屋台骨と言えますね。
 東部幹線は宜蘭線、北廻線、花東線、南廻線、屏東線の総称で、東海岸沿いに宜蘭、羅東、蘇澳、花蓮、台東、屏東を経て、高雄までを結ぶもう一つの幹線です。なお、東部幹線の書類上の起点は、基隆市郊外の八堵になっていますが、大半の列車が台北から運転されています。
 支線には三貂嶺〜菁桐間の平溪線、新竹〜内灣間の内灣線、二水〜車[土呈]間の集集線の3路線と、東部幹線の末端区間である蘇澳新站〜蘇澳間を結ぶ盲腸線(正式には宜蘭線の一部)があります。
 一般的に言われることですが、台湾は日本の九州によく似ていますね。面積は両者ともほぼ同じ。西側が比較的平坦で東側が急峻になっている地形や都市の分布状況、いずれも北部に炭鉱地帯を抱えているあたりもそっくりです。日本の地理に詳しい方であれば、ちょうど基隆=門司港、八堵=小倉、台北=福岡(博多)、台中=熊本、高雄=鹿児島、花蓮=大分、台東=宮崎と考えるとイメージがつかみやすいかも知れません。
 
2.鉄道にするかそれとも高速バス&飛行機か
 台湾鐵路局の直接のライバルとしては、高速バスと飛行機の2つを挙げることができます。
 まず、高速バスですが、メインルートの台北〜高雄間に関していえば、國光客運(旧台汽客運)の他、民営のバス会社が独自の路線を多数開設しており、選択肢は非常に豊富です。中には「総統座椅」と呼ばれる、豪華1人掛けシートに個人用液晶テレビ、ドリンクサービス付きの特別バスも運転されており、サービス面では鉄道よりも上。また、市内のバス停をこまめに巡回してくれるので、鉄道の駅から離れた場所でも気軽に利用できる点や、料金的にも鉄道に比べて割安感があるところも魅力的ですね。ただ、一般道路を走ることが多いだけに、途中で渋滞などに巻き込まれてしまうと、数十分単位の遅延は日常茶飯事で、事前に到着時間が読めないという弱点があります。時間的に余裕がない場合は安全確実な鉄道を使うのが正解でしょう。
 一方の航空機のほうも、高速バスと同様にその充実ぶりは半端ではなく、台北市内の松山空港から高雄、台南、花蓮、台東等の主要都市を結ぶ便が頻発しています。中でも台北〜高雄間は約10〜15分に1本の間隔で小型ジェット機が飛んでおり、東京の山手線並みの便利さ。料金は格安航空券が出回っているので、会社によって若干の差がありますが、自強號を利用する場合と同じか、それよりもちょっと高い程度とこちらもかなりお買い得です。逆に飛行機の欠点としては、市内各所から空港まで移動するのが面倒なのと、荒天時の定時運行にやや難があること、また、路線によっては繁忙時に座席の確保が難しい…といったあたりでしょうか。鉄道とは運賃やダイヤ、所要時間などに応じて柔軟に使い分けたいところですね。
 
photo01
 プッシュプル式の自強號(E1000系)。近年の大量増備によりあちこちでその姿を見かけるようになりましたね。機関車は南アフリカ、客車は韓国のメーカーの手による共同作品。
photo02
 自強號用の電車(EMU200系)。他にイギリス製のEMU100系、イタリア製のEMU300系といったバリエーションがあり、PP自強號が登場する以前は主力として活躍していました。
photo03
 非電化区間を走る自強號に充当されるDC(DR2900系)。台湾の鉄道の場合、電車は欧米や韓国のメーカーが強いのですが、気動車では逆に日本の車両製造会社が健闘しています。
photo04
 松山站に停車中の[艸/呂]光號の編成。自強號の客車列車版のような存在で、スピードはやや落ちますが、自強號と遜色ない客室設備を誇ります。
photo05
 復興號用の客車。見た目は[艸/呂]光號用の客車と酷似していますが、前者がオレンジとクリーム色なのに対し、こちらは水色と白のツートンカラー。
photo06
 左と同じ復興號カラーの客車ですが、写真は旧型客車を改造したグループで、主に屏東線で座席指定不要の復興號等に使用されています。
 
3.列車の種類
 台湾鐵路局の優等列車は「自強號」「太魯閣號」「[艸/呂]光號」「復興號」の4種類。各列車とも座席は原則として指定になりますが、モノクラス制なので、日本のようにグリーン車や1等、2等といった区別はありません。
 優等列車の中で最もスピードが速く、内装も豪華なのが自強號と太魯閣號で、西部幹線と宜蘭線及び北廻線では電車、花東線や南廻線などの非電化区間ではディーゼルカーが使用されています。また、最近はフランスのTGVのように両端に電動車を配し、真ん中を客車としたプッシュプルタイプ(推拉式)の自強號も増えてきました。
 [艸/呂]光號は、その客車列車版で、車内設備は自強號と同等ですが、機関車が牽引する分、速度は少し控えめ。車体は南国らしいオレンジとクリーム色のツートンカラーに塗られています。
 復興號は、日本でいうと一昔前の「急行」のような感覚の列車でしょうか。途中の停車駅はかなり多く、座席もビニール張りの簡易リクライニングシートとワンランク落ちます。[艸/呂]光號と同じオレンジ色の機関車が牽引する客車列車ですが、こちらは水色と白の車体が特徴です。
 なお、西部幹線(週末のみ)と東部幹線の台北〜台東間には、優等列車による夜行列車も運転されています。ただし、5〜6時間で目的地に着いてしまうことから、使用される車両はすべて昼間の列車と同じ座席車で、寝台車の類はありません。そのため、居住性に関しては今一歩で、特に"鉄道"というこだわりがなければ、サービスや料金の面で優れる民間の夜行バスを使ってみるのも1つの手だと思います。
 
4.運賃の計算方法
 日本で新幹線や特急列車に乗車する場合、まず目的地まで移動する権利(?)としての「乗車券」があり、次に利用する列車のグレードに応じて特急券や急行券、さらに座席の指定を希望するなら指定券、寝台券、グリーン券と…必要な切符を別々に購入するようなノリですが、台湾鐵路局では運賃(乗車券に相当)と料金(特急券や指定券に相当)が一体になったシステムを採用しているので、例えば、乗車券と指定席特急券のように、切符(車票)が2種類以上に分かれることはありません。最近の自強號などでは、2枚がセットになった切符を渡されることがありますが、これは車内検札の便宜を図るための工夫で(片方を前の座席のホルダーに差しておくと、検札の際に就寝中でもいちいち起こされなくて済むという優れモノ)、切符自体の効力は両方とも同じです。
 同様に運賃の計算方法も非常に単純で、列車の等級別に各種料金と乗車距離が一緒になった「自強號(含太魯閣號)」「[艸/呂]光號」「復興號/區間車(含區間快車)」「普快車」の4種類の運賃表があるだけ。おそらくこのあたりが、台湾の鉄道を利用する上で、最も戸惑いを覚える部分だと思います。日本の鉄道の運賃制度が"線"を中心にした考え方だとすると、台湾鐵路局のそれは"列車"単位で完結する仕組みと表現したら分かりやすいでしょうか。その意味では、台湾の鉄道は"点と点"を結ぶ飛行機や高速バスに近い乗り物と言えるのかも知れません。
 
photo07
 西部幹線や東部幹線の電化区間で客車列車を牽いて活躍する電気機関車(E200形)。米国のGE社製で、半流線型の流麗なスタイルが特徴です。
photo08
 非電化区間を中心に優等列車の牽引に使われているディーゼル機関車(R150形)。性能は悪くないんですが、エンジン音が少々やかましいのが玉にキズ。
photo09
 切符売り場。当日券と翌日以降の前売り券、さらに電話やインターネットで予約した分と切符の種類によって窓口が分かれているので要注意。
photo10
 駅によっては空席状況がボードに表示されている場合があります。写真は花蓮站のものですが、こういう案内があると旅行者にとってはありがたいですね。
photo11
 乗車口。列車の本数が少ない駅では普段は改札が閉まっていることが多いので、構内の待合室などで列車の発車時刻が来るのを待ちましょう。
photo12
 大きめの駅になると、乗車口とは別に降車専用の改札が設けられています。改札口で待ち合わせなどをする際は両者を混同しないように注意して下さい。
 
5.切符の買い方(窓口の場合)
 優等列車の切符の発売は10日前から。原則として乗車する駅の窓口で購入しますが、最近ではオンライン端末の導入で乗車駅以外でもOKになったみたいですね。また、インターネットを使えば、乗車日の2週間前から前日までの列車について、とりあえず座席を押さえておくこともできます(後述)。
 大きな駅では、当日(今天)分の切符と前売りの切符で窓口が異なる場合があるので、列に並ぶ際は注意しましょう。北京語や台湾語が話せない場合は、予めメモ用紙に乗車日と希望する列車の番号、利用区間、大人(全票)と子供(孩童)の別、必要枚数を書いて窓口氏に見せればOK。例えば「5月1日(今天)、自強號1003次、台北 -> 高雄、全票1張」といった感じです。ちなみに、私自身も全く現地の言葉ができないので、台湾へ旅行するときはメモ帳が必需品。それも「ボーナスは○○銀行へ」「あなたの未来を応援します、××生命」といった、平仮名やカタカナで日本企業の宣伝文句が入ったものを愛用しています。これを使うと相手にも「こいつ言葉の分からない日本人だな…」ということが一発で分かるので、希望の列車に空席がなかった場合など、さらに複雑なコミュニケーションが必要となる状況でも、筆談や片言の日本語、英語等によるやり取りに容易に持ち込むことができます。
 あと、日本か台湾かといった以前の基本的なマナーとして、メモ用紙を渡すときには「お願いします」、切符を発行してもらったときには「ありがとうございます」「多謝」「謝謝」など、日本語でも北京語でも構わないので、何かお礼の言葉を添えるのを忘れないようにしましょう。何気ない一言で相手の心証が随分と変わってきます。うまくすると列車が満席のときでも、予備に取ってある座席を窓口氏の好意であてがってくれる特別サービス(?)にありつけるかも知れません。
 
6.列車が満席の場合
 日本の場合と異なり、台湾鐵路局の優等列車には自由席がないので、希望する列車が予約で一杯だったときは、別の列車を指定することになります。ただし、定員乗車を原則とする太魯閣號を除き、立席承知であれば、空席がなくてもチケットの発券自体は可能です。座席番号の代わりに「無座」と記された切符がそれで、日本でいう立席特急券に相当します。メモ用紙に「無座OK」または「自願無座」と書いて窓口氏に渡しましょう。また、自動券売機(自動售票機)でも優等列車の切符を購入することができますが(後述の普通列車編参照)、この場合も座席の指定はできず、自動的に「無座」となります。
 台湾では飛行機や高速バスの路線網が発達していますが、それでも西部幹線の台北〜高雄間や東部幹線の台北〜花蓮間といったドル箱路線となると、曜日や時間帯によっては座席の確保が困難になるケースもあるようです。特に長距離客はスピードの速い自強號に集中する傾向が強いので、もし希望する列車が満席で、距離的に「無座」はちょっと…という場合は、その前後に出る[艸/呂]光號や復興號を集中的に狙ってみましょう。意外に空席が残っていることがあります。
 
photo13
 左側が窓口で売っている通常サイズの切符。右側は自動券売機で購入したもので、座席指定のない、いわゆる「無座票」になります。
photo14
 台湾鐵路局サイト(中文版)。左上の「網路訂票」をクリックすると、インターネット予約のページにジャンプすることができます。>> 拡大表示
photo15
 「Order Tickets On Net」のページ。列車の予約や検索、内容確認、キャンセル等の各種手続きはこの画面上から行います。>> 拡大表示
 
7.インターネットを使った列車の予約方法(網路訂票)
 現状では英文のみの対応となりますが、台湾鐵路局のサイトから座席を予約することもできます(網路訂票)。システムの稼働時間は毎日8時から21時(日本時間で9時から22時。インターネットのくせに24時間受付じゃないんですよね。(^^;)。2週間先の列車まで予約可能ですが、当日の列車については窓口のみの販売で、網路訂票の対象にはなっていません。
 予約に際して旅券番号(または台湾の身分証のID番号)の入力を求められるので、予め手元にパスポートを用意しておくといいでしょう。なお、網路訂票とよく似たサービスとして、電話を使った予約制度(電話語音訂票)がありますが、こちらは台湾の身分証にしかシステムが対応していないので、利用できるのは事実上、台湾の国籍を取得している人だけとなります。
 具体的な予約の方法は、まず台湾鐵路局のサイト(http://www.railway.gov.tw/index_ok.htm)へアクセスし、左上の「網路訂票」をクリック。お使いのパソコンの環境によっては、ここで「言語の文字を正しく表示するには、次の言語パックをインストールする必要があります:繁体字中国語」といったメッセージが出る場合がありますが、特に必要がなければ「キャンセル」を選択して下さい。「台鐵網路訂票系統」のトップが表示されたら、左端のメニューから一番下の「English」をクリックして、「Order Tickets On Net」のページへ。ここから列車の予約や、内容確認、キャンセルなどの各種操作を行います。なお、列車の具体的な運転情報については、こちらの時刻表検索のページ(台湾鐵路局 火車時刻査詢系統)を参照して下さい。
 列車を予約するには、一番上の「Order Tickets Using Train No.」を選択。「Order Train Tickets (Using Train No.) 」のページが表示されるので、上から順に「Passport number」(旅券番号)、「Departure station」(乗車駅)、「Arrival station」(下車駅)、「Departure date」(乗車日)、「Number of passengers」(人数)、「Train NO. code」(車次。例えば時刻表に「自強1008」と掲載されている場合、数字の「1008」の部分が車次です)を入力します。
 また、希望する列車の車次が分からない場合は、「Order Tickets On Net」のページから「Order Tickets Using Train Type & Duration Time.」をクリック。「Order Train Tickets (Using Train Type.) 」のページで、車次の代わりに列車の種類と時間帯を指定して下さい。なお、台湾鐵路局の優等列車の英語表記ですが、それぞれ「Tze Chiang」(自強號)、「Chu Kuang」([艸/呂]光號)、「Fu Hsing」(復興號)となります。
 すべての項目の入力を終えた後、内容を確認して右下の「Start To Order」のボタンを押して下さい。赤い字で「Booking successfully!--Thank You」というメッセージが出たら予約は無事完了です。このときに予約の内容や「Ticket-taking due date」(購入期限)と共に、6桁の「Booking code」(予約コード)が表示されるので、メモ帳などに控えを取っておくのを忘れずに。後日、窓口で切符を受け取る際に必要になります。可能であれば予約完了のページをプリンターで印刷して現地へ持っていくといいでしょう。
 一方、リクエストした列車が満席だった等、予約に失敗したときは「Order Ticket Fail: Sorry, no ticket available」というメッセージが表示されます。その場合は前ページに戻って列車や時間帯の指定を変えた後、再度「Start To Order」ボタンを押して下さい。
 予約が正常に完了したら、購入期限(通常は3日間。予約日含む)までに、最寄りの駅(または郵便局)へ出向き、代金と引き替えに乗車券を受領します。その際、必要になるものはパスポート、予約完了の画面で表示された6桁の予約コード、予約手数料(郵便局で受け取る場合)です。
 なお、期限内に切符の引き取りに来なかった場合、入れておいた予約は自動的に無効になりますが、いたずら等による"空"予約を防止するため(過去にライバルのバス会社がニセの予約を大量に入れまくってシステムを混乱させた…なんてことがあったらしい)、これを3回連続でやると6ヶ月間、当該のパスポートを使って予約することができなくなるので要注意。特に日本国内から網路訂票を利用する場合、物理的に切符を取りに行ける期間が限られているので、渡航のスケジュール等を十分に勘案してから予約を入れるようにしましょう。あまりにも早いタイミングで座席の確保に走ると、日本にいる間に購入期限が来てしまいます。台湾に渡る3日前に予約して、現地到着後に受け取る形にするのが理想ですね。また、間違って予約を入れてしまったり、日程の変更等で予約が不要になったときも、必ずキャンセルの手続き(「Order Tickets On Net」のページから「Cancel booking record.」をクリックして、旅券番号と予約コードを入力)を行って下さい。
 
photo16
 「Order Train Tickets (Using Train No.) 」のページ。上から順番にパスポート(旅券)番号、乗車駅、下車駅、乗車日と人数、列車番号(車次)を入力して下さい。>> 拡大表示
photo17
 列車番号が分からない場合は「Order Tickets Using Train Type & Duration Time.」をクリック。車次の代わりに列車の種類と時間帯を指定します。>> 拡大表示
photo18
 予約完了画面。ここで表示される6桁の「Booking code」(予約コード)は、駅の窓口で切符を受領する際に必要となるので、忘れずにメモしておくようにしましょう。>> 拡大表示
photo19
 満席時など予約に失敗すると画面のようなエラーが出ます。その場合は車次、時間帯等を変えて再トライしてみて下さい。>> 拡大表示
photo20
 自強號の車内。片側2列のリクライニングシートが並んでいます。シートピッチにも比較的余裕があり、なかなか快適な車内です。
photo21
 復興號の車内。一見、自強號のそれに似ていますが、座席はビニール張りの簡易リクライニングシートで、居住性はやや劣ります。
 
8.車内にて
 一応、全席指定を基本とする台湾鐵路局の優等列車ですが、台湾らしい合理性(割り切り?)なんでしょうか、車内に空席があれば、「無座」の場合でもとりあえず座っていてもOKというローカルルールが存在します。よく台湾鐵路局の優等列車に乗ると、自分の席に見知らぬ人が座っていて戸惑うことがありますが、上記の理由により一時的に席を拝借しているだけですから、相手にチケットを見せればすぐに空けてもらえます。その際、他人の座席をちゃっかり拝借していたほうも、指定券を持った本来の乗客も、いちいち文句を言わないところが何とも台湾的ですね(日本だと何を言われたものやら…)。
 私自身も、台北から桃園や瑞芳程度の距離なら、窓口の行列に並んであるかどうか分からない切符を買うより、自動券売機で済ませてしまったほうが速いので、よく「無座」で乗ってこのローカルルールを使わせてもらっています。ただ、いつ座席の主が現れるか分からないので、途中でおちおち居眠りすることもできず、気分的に何となく落ち着かないのもまた事実ですね。ここで堂々と弁当を広げられるようになったら本物でしょう(^^;。
 もう一つ、日本の鉄道のシステムに慣れきってしまうと、どうしても違和感を覚えるのが列車のドア。最近は台湾でも自動扉を装備した車両が増えてきましたが、一昔前のタイプの車両になるとドアは手動扱いで、乗客が各自勝手にハンドルを操作して扉を開閉します。大抵は最初に降りる人が開けてくれるのですが、運悪く自分の他に誰も乗降客がいない場合は、扉の前でぼけ〜っと待っていても何事も起こらないので、自分でドアを開けて外へ出ましょう。扉は2枚折り戸になっているため、開閉には多少のコツと慣れが必要ですが、ハンドルを手前に押し下げるように引けば、割合に簡単に開くと思います。
 
photo22
 プッシュプル式の自強號の座席。これを向かい合わせにすると、座席の背と背の間にちょっとしたスペースが出現するので、ある程度の大きさの荷物ならそこに置いておくことができます。
photo23
 最近の自強號などに装備されている切符ホルダー。2枚セットになった乗車券のうち、小さなほうをここに差しておくと、検札があったときに爆睡中でも起こされずに済む便利なアイテムです。
photo24
 何とも分かりにくい写真で恐縮なんですが(よく見るとブレてるし…)、[艸/呂]光號の最後尾に連結された「行李車」(正確には「電源行李車」)。車両の前半分が荷物室になっています。
 
9.客室内への大型荷物の持ち込みについて
 最近、インターネット上の掲示板などで、列車内への大型荷物(自転車、スーツケース等)の持ち込みについて質問される機会が多くなってきました。先に結論から言ってしまうと、台湾の優等列車の客室サイズ及び仕様は、基本的に日本のJRの特急電車(在来線)とほぼ同じです。したがって、頭上の網棚以外に荷物置き場のようなものは特に用意されていません。一応、洗面所やデッキ、通路などのスペースはありますが、混雑時は悲惨なことになるので、あまり期待しないほうがいいと思います。実際、自強號に大型のトランクを持ち込む旅行者をよく見かけますが、(最初のうちは大丈夫でも)通路に立ち客があふれてくるにつれ、大きなトランクが次第に行き場を失っていく様がかなり哀れです(^^;。当然、自転車の類はバラして輸行袋に入れた状態でなければ、優等列車、普通列車を問わず、車内への持ち込みは物理的にまず無理ですね。
 が、それでも日程の都合で"貨物"として別便で送るのは困難、あるいは中に貴重品が入っているので手元から離したくない等の理由で、どうしても車内に大きな荷物を持って乗らざるを得ないといったケースはあると思います。そうした場合の対処法ですが、
 
(1) 自強號や[艸/呂]光號の場合、シートピッチに割と余裕があるので、向かい合わせた座席の背と背の間のスペースに荷物を入れる。ただし、いつもその場所が空いているとは限らないので、なるべく始発駅から乗って早めに場所を確保する必要があります。
(2) 時間が余計にかかっても構わなければ、客車使用の「區間車」や「區間快車」など、比較的長い距離を走る普通列車を乗り継いで目的地へ向かう。全車自由席なので、優等列車よりは多少融通が利くと思います。
(3) [艸/呂]光號、復興號の一部に「行李車」(荷物車の一種だと考えて下さい)が連結されている場合があるので、車掌さんにお願いしてそこに荷物を置かせてもらう。ただし、時刻表を見ただけではどの列車に行李車が付いているか分からないし、およそ「携行品」とは言えないような大きさのブツを持って乗るわけですから、駅や車内の交渉ではそれなりの語学力が必要になってきます。
(4) 列車での移動はあきらめて高速バスを使う(荷物はバスの床下に設置されたトランクルームに収容)。特に台北〜高雄間のようなバス会社間の競争の激しい区間では、たとえ大きな荷物の"おまけ"付きであっても、無条件に「歡迎光臨!」となると思います(荷物はたぶんバス会社のほうで何とかしてくれるでしょう…甘過ぎ? (^^;)。
 
 なお、理屈の上では指定券を1枚余分に買ってそこに荷物を置いておくといった方法も考えられますが、台湾の鉄道の場合、前の章で書いたように「指定席でもそこに人がいなければ、とりあえず誰が座っても構わない」というローカルルールが存在するので、これは禁じ手だと思っておいたほうがいいでしょう。仮にお金を払って指定を取った座席であっても、人間の代わりにトランクが座っていれば、周囲の立ち客に恨まれること請け合いです。
 結局のところ、台湾の鉄道事情(列車の混み具合やマナーなど)は日本とほとんど変わりません。ましてここは「外国」であるわけですから、大きな荷物を持って乗車する際はあまり無茶をせず、できるだけ他人様に迷惑をかけない方法を取るように心がけて下さい。それが同じ小さな島国に住む者同士の共通の了解事項であり、"美学"なんじゃないかなと思います。
 
関連サイト
台湾の鉄道&バス乗車ガイド−台湾鐵路局 普通列車編
台湾鐵路管理局 【Big5】

 


(C)Copyright since 1998 Yonezawa Mitsunobu "KeTEL". All rights reserved.